ミダック
今日は、2017年12月に名古屋証券取引所に上場を果たし、2019年12月に1部上場を果たしたミダックについて書いてみようと思います。
この会社は関西・東海・関東で廃棄物の収集から運搬・中間処理・最終処分を一括して行う会社です。
上場した時の時価総額が60億だったのですが、約2年あまりで220億まで増加しておりますが、一般的には今の状況はゴミの量は下降トレンドのように思われますが・・・。
しかし、この会社の5年売上成長率10% 営業利益の成長率が30%と高い成長率が予測されています。また、営業利益率20%以上と高い利益率が特徴の会社でもあります。
その会社の3月期決算が発表されましたので、見てみたいと思います。
目次
2020年3月期決算
前期の決算では、売上+11.5% 営業利益+36.2%と2016年3月期から、高い成長率が続いています。またここで注目してほしいのは、2016年時には、利益率が10%前後だったのが、今期の予想の営業利益率は29%と高い利益率で年々上昇している事です。
5年で営業利益は約4倍と近年急成長を遂げています。
売上が伸びた要因
- 中国の廃プラ等の輸入禁止措置により国内の廃棄物量が増加
- 昨年秋の台風などの影響で大量に発生した災害廃棄物の受入処理が増加
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最終処分場の搬入計画を一部緩和して受け入れ量を拡大した
上期でそれほど伸びていない理由として、前期の1Qで大型案件があり、その後受け入れ制限をかけた影響があり、四半期別の業績に差異が発生している。
ゼクメント別
メインは、廃棄物処分事業で売上の80% 利益率は40%と高い利益率を誇る。
前期の売上45億+12% 営業利益19億+33.7% 利益率も35.5%→42.1%
逆に収集運搬事業はそれほど成長しておらず、利益率も18年3月期は18%だったのが、12%まで下がってきています。
廃棄物処理事業
廃棄物処理が成長の源だとわかりましたので、更に細かく見てみます。
最終処理事業には、主に、焼却・水処理などの中間処理と最終処分として、管理型・安定型処分場があります。
その中で同事業が伸びていると、最終処分が3億 中間処理2.1億の増加
2019年3月期では最終処分が3.7億 中間処理が0.9億の増加
安定的に成長しているのは、最終処分場で、前期はそれに加えて中間処理が伸ばしている事が業績に影響を与えたようです。ただ、これは昨年の災害廃棄物の影響と仲介管理を含む関東での営業活動の影響も大きいと思われます。
来季以降も伸ばしていくようだとかなり期待はできそうです。
ただ、今後中間処理も伸ばしていくようだと処理施設の処理能力などがどのくらいあるのか確認は必要になると思います。
最終処分場を運営している子会社のミダックはまなの業績
2019年:売上16.1億 営業利益11.2億
2020年は開示していないが、資料を元に計算すると売上19億 営業利益13.7億
今期の成長率も20%を超えている。2019年期は30%成長と高い。
事業別の売上の4割を稼ぎ、利益は8割を超えている。ミダックはまなの成長がこの会社の成長の源。利益率は7割近い。
2016年にミダックはまなをM&Aで、企業買収してから、高収益企業に成長してきたミダック。M&Aで企業が成長するわかりやすい事例だと思う。
バランスシート
前期と比較してかなり資産が増えています。
これは主に関東への事業拡大に伴い新株の発行と自己株式の売却により現預金の増加
新規最終処分場建設による建設仮勘定が増加したことにより固定資産が増加
負債においては、長期借入金から短期借入金へのウエイトが年々高くなっており、年々財務状況はよくなっている事がわかります。
業績が好調なこともあり、利益剰余金も積み上がり。自己資本比率はかなり改善しているようです。ただ、その利益を未来への投資にまわし、レバレッジをかけて、大きく会社を成長させようと考えているようです。
今後関東に事業を拡大する事もあり、有利子負債は50億ぐらいで推移しています。
また、一部昇格した段階で、12億程度の増資を12月に行いました。関東に進出を表明したのは、昨年6月ぐらいだったと思われますが、12月に関東への用地買収が進んでいるそうなので、かなり動きが早い印象を持ちます。
関東の廃棄物は全国の1/4を占め、東京都以外は処分場が足りないようで、ほとんどの県では
県外で最終処分をしている現状を考えるとかなり期待できると思われます
来期業績見通し
コロナウイルスの影響で、一部の業種(製造業)で減少した場合でも、建設・食品での営業活動に注力して確保する
また医療業界では、コロナウイルスの影響で、感染性廃棄物の受け入れも行う。
市場環境
日本の産業廃棄物量は、リーマンショックによって景気が減退した2009年に一旦減少したものの、その後再び年々増加しています。
環境省によると、2050年までの国内の産業廃棄物量は、横ばいか徐々に増加していくと推計されている。
最終処分量は減少傾向が続いていたが、2014年頃から横ばい傾向が続く。
産業廃棄物の処理の割合は、全体の52%が再生利用、45%が中間処理等での減量化、3%が最終処分と推計
最終処分場の現状
最終処分量はリサイクルの促進で減少傾向が続いていたが、2014年頃から横ばい傾向が続く。
平成 28 年度の最終処分量及び平成 29 年 4 月 1 日現在の最終処分場の残存容量から最終処分場の残余
年数を推計すると、全国では 17.0 年であるが、首都圏では 5.6 年と依然として厳しい状況
都市部周辺で新たに処分場を確保することは、規制の強化と住民の反対運動で新規開業する施設が少なく危機的な状況になっている。特に、関東や関西の人口密集地では処分場が少なく、都会のゴミを地方にツケ回す構図が問題となっている。
最終処分場の寿命は全国平均で20年ぐらいと言われている。
残余年数は右肩上がりに回復している。最終処分量は全体の3%で、ゴミの量は年々減少していきたが、現在は1000(万t)で推移。環境庁の資料でも今後も概ね1000(万t)発生
最終処分場の新規許可申請数は法規制で、年々減少しており、現在は年間10件程度で推移している。
最終処分場の分類
主に管理型と安定型があり、管理型は有害な廃棄物の処理をしており、管理が厳しい。安定型は有害ではない廃棄物を処理しているが、有害な廃棄物の分別が必要。混在してしまう場合があり、混在すると土壌汚染の原因になり地盤沈下の危険性がある。また管理型の処理場は安定型と比べて、新設するのに手間がかかり周辺からの反対が高く、住民からの理解は得られにくい。国からも厳しく管理されている。
管理型
処分場の側面や底面が遮水シートなどで覆われており、廃棄物から発生する浸出廃液を処理する施設を有する最終処分場です。木くずや金属等を含む産業廃棄物の埋立処分に係る判定基準以内である数値の有害物質を含んだ汚泥やばいじんなどを処分することができます。
安定型
雨水等にさらされても変化のない、有害物を出さない廃棄物を埋めるための処分場です。安定5品目と呼ばれている、廃プラスチック類・がれき類 ・ゴムくず・金属くず・ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずが処分できる廃棄物の対象
トピックス
管理型の最終処分場を2022年に新設。昨年の12月に承認を得て、銀行から41億借入して、
工事も順調に進んでいるよう。報道では、地域住民の反対運動があったようですが。
埋立期間も30年と長く、既存の7倍の規模を確保。関東にも対応。南海トラフ地震が発生した場合にも災害廃棄物の受け入れることも可能
株価推移
12/20■ 静岡県 浜松市より管理型最終処分場の設置許可が下りる。
2/21■ 代表取締役が交代。
5/15■決算発表で関東進出・東証1部上場への準備を発表。4月より社長が交代したタイミングでIRにも積極的に?7月には名証IRにも登壇。
トークショーには参加しませんでしたが、説明会にも沢山いて盛況だった印象。
6/7■ <6564>事業報告書を公開。6/11ぐらいから株価が上振れ。800円から1300円まで株価が上昇。
8/9■ <6564>1105円 20年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益は前年同期比15.9%減の3.2億円に減ったが、4-9月期(上期)計画の5.1億円に対する進捗率は64.5%に達し、前年同期の60.5%も上回った。直近3ヵ月の実績である4-6月期(1Q)の売上営業利益率は前年同期の30.6%→28.3%に低下した。四半期ベースの数値は良くなかったが、進捗率は高かったので、それほど株価は動かず。