エーアイ

今日は、エーアイについて書いてみようと思います。

この会社は、2018年に新規上場した会社で、昨年、がっちりマンデーで特集されていて興味を持った会社。

社長が脱サラで起業して、長年研究開発してきた、音声合成の技術を事業化した。

会社はすごく小さな会社だが、大企業と渡り合っている感じは、応援したくなる会社。映像で見る限り社内の雰囲気もよく、女性が多く働いている会社。

事業内容も、身近なサービスを提供しているのでわかりやすいサービスで、独自の強みを持っている企業なので注目している。

2019年当初ぐらいからステージ1の銘柄だが、業績は右肩上がりの会社で売上成長率は10-20%、今期は、コロナウイルスの影響で鈍化。営業利益率は30%を超える。まだエントリーとはならないが、決算を振り返って見ました。

 

www.tbs.co.jp

 

目次

 

 

チャート

日足チャート

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週足チャート

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会社概要

 

音声合成エンジン及び音声合成に関連するソリューションの提供している

音声合成に特化して事業を展開(文字情報を音声に変える技術)

 

自社開発製品音声合成エンジン「AITalk®」を用いたサービス・製品を販売

機械音ではなく、人の声で合成する「コーパスベース音声合成技術」をベースに、独自に研究開発。人間らしい自然な音声で、音声合成エンジンの活用が広がっている。

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 利用されている用途が多岐にわたり、音声合成エンジンを利用する顧客企業は、通信、防災、金融、鉄道・交通、車載、ゲーム、観光、自治体、図書館等に広がっている。

 

「AITalk®」の特徴と強み

①少ない収録音声

一般的には、数10時間(数千~1万文章程度の収録)の収録時間を要するところ2時間~6時間程度(200~600文章程度の収録)の収録時間で音声辞書を作成することを実現。

②豊富な話者の提供

少ない収録音声で音声辞書を作成することを実現した結果、様々な音声辞書を提供する事が可能となり、女性7話者、男性4話者、男の子2名、女の子2名の合計15話者を提供

③Custom Voice(カスタムヴォイス)

従来は音声辞書の作成に数千万円の費用がかかっていたところ、少ない収録での作成を実現した結果、50万~500万円程度で作成することが可能

 

活用事例

①防災行政無線、全国瞬時警報システム(J-ALERT)など多くの自治体に活用

スマートフォン音声対話

NTTドコモが提供する「しゃべってキャラ®」、ヤフー(株)が提供する「Yahoo!音声アシスト」にて活用

③道路交通情報、カーナビゲーション 館内放送、駅構内放送、ゲームのナレーション音声

④音声ファイル作成

eラーニング教材のナレーション、発券機等の機器におけるガイダンス等で利用する音声ファイルを作成するツールとして活用

⑤電話自動応答システム

図書館における電話による休館案内、銀行における電話自動応答システム、あるいはコールセンターにおける電話による自動案内等、電話自動応答システムとして幅広く活用

 

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 販売方法については、法人向けにおいては、プロモーションを通じた問合せ(SEO対策、メルマガ、ニュースリリースなど)や、営業スタッフによる新規顧客開拓・既存顧客リピート案件の獲得のほか、パッケージ商品については販売パートナーを通じた販売

コンシューマー向けにおいては、直販ではなく販売店に販売を委託

 

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主な製品

AITalk® 声の職人  eラーニング教材のナレーション動画マニュアル、観光案内、館内放送

AITalk®声プラス  PowerPoint®のスライドに簡単に音声をプラスできるPowerPoint®アドインソフト

AITalk® SDK  パッケージソフトへの組込み/ 電話自動応答の音声/機器への組込み/WEBキャンペーン・WEBサービス

AITalk® Server  電話自動応答の音声/ WEBキャンペーン・WEBサービス

AITalk® Custom Voice®  芸能人や声優、自分の声等を収録し、音声合成用のオリジナル日本語音声辞書を作成するサービス

かんたん!AITalk®  文字を入力するだけで、簡単に高品質なナレーションが作成できる個人ユーザー向けパッケージソフト

AITalk® あなたの声   自分の声などを、音声合成技術で再現。パソコンさえあれば、いつでも、どこでも、様々な言葉を喋らせる事ができるパッケージソフト

 

音声合成技術とは?

「音声技術」には、主に音声を認識する技術(音声認識)とテキスト情報を音声に変換する技術(音声合成)がある。

音声合成エンジンは、機械音ではなく、人の声で合成する「コーパスベース音声合成技術」をベースに、独自に研究開発を行った音声合成エンジン「AITalk®」である。

 

この会社が扱っている音声合成方式は「コーパスベース音声合成方式」と呼ばれるもの。

コーパスベース音声合成技術」とは?

コーパスベース音声合成技術」には、「音声辞書を作成する技術」と「テキスト情報から音声を作成する音声合成処理技術」の2つがある。

 

コーパスベース音声合成方式」においては収録した人間の音声から母音・子音単位で接続して音声波形を生成するもので、当然ながら音質は機械音ではなく、人間の発声によるものとなる。

 

「音声辞書を作成する技術」

特定の方の音声を収録し、収録した音声を母音、子音の音素片に分解した上で、音声合成時に収録した方の音声の再現性を高める為には、音声辞書を作成する作業の精度が非常に重要。

 

音声合成処理技術」

テキスト情報を日本語解析し、ヨミ、アクセント情報等を付与する「言語処理部」と、解析した結果に対して、韻律辞書を参照し、韻律情報を予測した結果をもとに、音声辞書より最適な音素片を選択し、再度、音声波形に接続し、音声出力する「音声処理部」収録した音声の音素片を再接続して音声出力しますので、収録した方の音声に極めて近い合成音を作成することができるのが大きな特徴

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業績推移

 

5年成長率(年率)  売上16.8%    営業利益24.9%

業績の季節変動性について

防災関連、受託案件において、2月から3月の期末に納品が集中する傾向がある。

業績は右肩上がりで市場の成長性も高く、堅調に業績を伸ばしている。今期はやや成長性が伸び悩む計画だが、決算後は株価は堅調に上昇している。

営業利益率も30%と高い。今期は内製化を進めてことで、原価低減。

フロー型のパッケージソフトの販売がメインで、活用がいろんな分野に広がりつつあり、今後も伸びていきそうな状況。

 

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決算の状況

決算短信のコメントから抜粋

音声合成市場は、電話自動応答システム、カーナビゲーション、防災行政無線などの情報伝達手段 としての利用用途から、AI(人工知能)の品質向上 コミュニケーションロボット、車載器の対話システ ムなど、対話型の利用用途へと変化している

昨今の働き方改革、新型コロ ナウィルス感染症の拡大によるテレワーク、在宅学習の推進等により、e-ラーニング用途での利用が拡大している

音声合成市場は、様々な企業参入により競争が激化しており、より品質の高い技術を投入するために研究開発 費、製品開発費が増加する傾向

 

 

前期(2019年3月期)の状況を確認すると、法人向けサービス、コンシューマー向け製品が大きく伸張して売上は+24.7%  営業利益は+43.8%

 

今期は、法人向け製品を伸ばしている。売れている製品・サービスは前期と変わっていないように思う。苦戦しているコンシューマー向け製品は、昨年はVOICEROIDシリーズの販売が好調だった。

 

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コロナウイルスの影響

新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言により、テレワーク、在宅学習の 取り組みが拡大しており e-ラーニング資料の作成や、ガイダンス音声の作成といった法人向け製品の需要拡大が 見込まれます 。外出自粛が長引くことにより、コンシューマー向けダウンロード製品の需要が拡大するもの と予想。

積極的な営業が困難になるため、ロイヤリティ、Custom Voice、基本ライセンスと いった法人向け製品の売上が伸び悩むと予想。

 

財務指標

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 来期予想

近年の成長率が比べると、やや成長は鈍化する。コロナウイルスの影響で在宅勤務をしており、営業活動に影響が出ている。

 

 

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成長戦略

①車載向け多言語音声合成エンジンの製品化で技術提携契約を締結

2018年10月、Nuance Communications Incとの間で、技術提携契約を締結

Nuance Communicationsは、時価総額で約5,000億円の音声・画像認識および音声合成ソフトウエアの世界的なトップ企業が今後大きな成長が見込まれる車載向け多言語音声合成エンジンの「日本語音声合成エンジン」として、「AITalk®」を提供することとなった。

 ②Eラーンニングでの需要拡大の取り込み

働き方改革の推進・テレワークの普及

 

 

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トピックス

直近の採用事例

 

①地方のFM局・TV局を中心にバーチャルアナウンサーとしてAITalk®の音声の採用が増加

 

②AITalk®の音声が採用されたワンタッチビューは、全国のフードコート等の飲食店等や、病院やクリニック等の医療機関への導入が進む予定。従来のワンタッチビューは、ディスプレイでの番号表示と、ベル音によるお客様呼び出しをおこなっていた。

③多言語ソフトはオリンピック・インバウンド需要で外国人への情報提供手段として、導入が地方自治体を中心に導入が進んでいた。

 

 

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株価推移

2018/6/28     株価3500円

公開価格1000円を3.5倍上回る3500円で初値を付けた。時価総額169億。

 

2018/8/24  株価2723円

エーアイが急伸し一時、前日比494円(22.2%)高の2723円まで買われる。23日の取引終了後、同社の高品質音声合成エンジン「AITalk」が、ヤマハ<7951>が提供する「おもてなしガイド」と連携したと発表。

2018/10/10  株価 3365円 +115
大幅に続伸。米国の音声・画像認識ソフトウエア会社のNuance Communications Inc(マサチューセッツ州)と技術提携すると発表エーアイは高品質日本語音声合成エンジンをNuance Communications Incの顧客に提供する。

 

2019/1/25  株価 2185 円+185
大幅に4日ぶり反発。スマートセキュリティ事業を手掛けるSecual(東京都渋谷区)と資本業務提携すると発表している。製品及びサービスで、エーアイ<4388>の音声合成エンジン「AITalk」の活用及びスマートスピーカーの共同開発を行う。

 

2019/5/27  株価 1907 円+148

6月2日に放送予定のTBS系情報番組「がっちりマンデー!!」で18年に上場した注目企業の1社として紹介される。 6/10には2428円まで買われる。

 

2019/8/9  株価 1810 円

20年3月期第1四半期(4-6月)の経常利益(非連結)は前年同期比37.5%増の1100万円に拡大。サプライズ決算と取り上げられるが、株価はほとんど動かず。

 

2019/9/17  株価1770 円+167
急騰。20年3月期第2四半期累計(19年4-9月)の営業利益を従来予想の0.23億円から0.53億円(前年同期実績0.69億円)に上方修正

修正理由:外注予定であった製品開発を社内の工数で賄えたこと、中途採用者の入社時期が後ろ倒しになったことにより人件費の発生が減少したこと、人材紹介会社の使用を抑えたことにより採用コストを削減

 
2019/11/11 株価1627 円+85
20年3月期第2四半期累計(4-9月)の経常利益(非連結)は前年同期比10.5%増の6300万円に伸び、従来の7.0%減益予想から一転して増益で着地
 
次世代自動車向けソフトウェアを手掛ける米セレンス社(マサチューセッツ州)と、日本語音声合成エンジン「AITalk」に関するライセンス契約を締結すると発表

エーアイは「AITalk」の基礎技術をセレンスに提供することで、顧客はセレンスの音声合成テクノロジー「Cerence TTS」の多言語の一つとして、「AITalk」を使用することができるようになる。

 

 2019/11/22 株価1712円 +62
大幅に3日ぶり反発。伊藤忠テクノソリューションズ<4739>が開発したAI使用のコンタクトセンター向け電話自動音声対応ソリューション「CTC-AICON」に、エーアイの音声合成AITalkが採用されたと発表

AIと顧客の会話の中で、回答内容が変動する発話では「AITalk Server」が回答内容をリアルタイムに音声合成する。定型文の音声化では「AITalk 声の職人 パッケージ版」を活用し、固定ガイダンス音声を作成

 

2019/12/23 株価1748円 +30
大幅に3日続伸。ヤフー(東京都千代田区)が提供するYahoo! ニュースのAmazon Alexa及びGoogleアシスタントの対応版で、エーアイの音声合成AITalkが採用されたと発表。Yahoo! ニュースのテキスト情報を入力するだけで、合成音声を作成

今回採用された「AITalk 声の職人 パッケージ版」は、パソコンにテキストを入力するだけで手軽に音声ファイルが作成できるナレーション作成ソフト。販売製品のガイダンス、電話自動応答音声、eラーニング、動画などのデジタルコンテンツのナレーション音声として法人活用が進んでいるほか、アナウンス原稿の読み上げや、ニュースコンテンツのナレーション作成として、メディアでの活用も広まりつつある

 

2020/2/4 株価 2020円 +83
大幅に反発。東京放送ホールディングス<9401>傘下のTBSテレビ(東京都港区)報道局が運営する「TBS NEWS」のSNSニュース動画「いらすとキャスター」向けに、長峰由紀アナウンサーの音声合成辞書を「AITalk CustomVoice」で作成し、提供したと発表

 

2020/2/7 株価 1810円 -190

20年3月期第3四半期累計(4-12月)の経常利益(非連結)は前年同期比10.0%増

決算後は株価は下落トレンドに3/23には899円まで下げる。

 

2020/4/7 株価 1198円 +54

毎日放送MBS大阪市北区)が2日に放送開始した新番組「ロボロボ天気予報」に、同社の音声合成エンジン「AITalk」が採用されたと発表

 

2020/4/13 株価 1450円 +188
大幅に反発。20年3月期の営業利益を従来予想の2.20億円から2.73億円(前期実績2.11億円)に上方修正している。法人向け製品の売上が4.99億円(計画比110.7%)と伸長した。業務委託や外注を社内体制で賄い、原価が減少したことも増益に寄与する見込み。業績修正などを受け、同期の年間配当を従来予想の6.00円から7.00円(前期実績8.00円)に増額修正

 

2020/4/16 

eラーニング制作担当者やコールセンタ―運用者向けに、ナレーション・ガイダンス音声作成の悩みに関する特別ページを公開したと発表

 

2020/4/24 株価 1595円 +38
大幅に続伸。高品質音声合成AITalkが共同通信社(東京都港区)が開発する「放送原稿読み上げシステム」(よみあげクン)に採用されたと発表

ニュースや災害速報をAITalk WebAPIで音声合成し、ナレーション音声として放送

 

2020/5/18 株価 1788円 +137

続伸。前週末15日の取引終了後、21年3月期単独業績予想を発表。売上高は8億4000万円(前期比2.5%増)、営業利益2億8000万円(同2.3%増)、純利益2億500万円(同18.8%増)と増収増益を見込み、期末一括配当は前期比1円増の8円を予定していることが好感

新型コロナウイルスの感染拡大で外出の自粛が長引くことにより、テレワーク、在宅学習の取り組みが普及している。これを受け、eラーニング資料の作成や、ガイダンス音声の作成などの法人向け製品の需要拡大が見込まれる。

 

市場動向

音声認識音声合成技術全体の世界市場は、2011年の約470億ドルから、2025年には2,000億ドルまで成長するとの民間調査会社の予測もある。(年平均成長率CAGR約10%)

今後はeラーニング、モビリティ、ロボット、AIスピーカーなど利用範囲は急速に拡大していくものと見られる。

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