神戸物産

まずは、決算が発表されたので、業績を振り返ってみます。

長期トレンドを見ても業績は右肩上がり。

四半期別の推移を見ても、直近の数値はかなり高い成長力を感じます。

2019/2Qから売上成長力がそれまで、5%ぐらいの成長だったのが、ここから、さらに売上の伸びが高く、今期に入ってもその勢いはとどまる事はなく、さらに加速しているように感じます。特に売上以上に利益の伸びがかなり高いのが印象的。

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営業利益率の推移を見ても、2013-14年ぐらいは、他のスーパーと同じぐらいの利益率だったのが、そこからかなり高い伸びが見られ、スーパーの中で、高い利益率を誇るヤオコーが4%前後になりますので、かなり収益性は高いです。

問題は、これが、今後も継続性があるのか?それがどこまで続くのか?が気になるところ。

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費用構造を見ると、原価率がかなり下がっていることが多いようです。

ただ四半期別の推移を見ると少しばらつきがあるように思われます。

PB率の比率の影響かと思ったけどそうでもない感じ?

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店舗数の推移を見ても業務スーパーのFCビジネスでありながら、かなり店舗数を伸ばしている

事もそうだが、1店舗売上も店舗数の増加とともにかなり伸ばしている。

また業務スーパー全体の店舗数(約1900店舗)の約4割のシェアを獲得しており業務スーパーでは、かなり高い優位性をとっている。

ただ、既存店と新店の売上構成を知りたかったが、見つからなかった。それがわかれば、新規出店のインパクトがどのくらいあるのかわかるのだが・・・。

 

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業務スーパーのFCビジネスについて書いてみようと思う。

何故スーパーという利益率が低く、市場が伸び悩むなかで、この業態でFCビジネスが成立するのか?

スーパーの市場シェア:イオン系が役5割のシェアを獲得しているが、利益はドンキの7割程度。食品スーパーでは地方が地盤のイズミが高い利益率を誇る。

イズミは、SC型の総合スーパー。中国・四国・九州が地盤でM&Aにも積極的な会社。

異業種(ドラックストア・コンビニ)などの参入で食料品も競争が激化、店は増加傾向だが、店舗売上は下げ止まらず、店舗規模の大きいGMSなどはかなり収益性が悪化している。

また慢性的な人出不足で、人件費が高騰。また、値下げ・廃棄ロスが増えると利益がさらに収益を圧迫している。

利益をとれている会社は、EDLP(エブリデー・ロープライス)戦略を掲げている会社。

または、地方地盤の地域密着型の地方スーパー。GMSは本部が一括して、仕入れをしている会社がほとんどだと思われるので、個店対応ができていなのかも知れない。商圏が狭くなっているのも影響。共働き世帯の増加で、時短が定着しており、まとめ買いする消費者が増減少して、買い物頻度が増えている事も影響?フローが増えないと儲けにくい業態だと思われるので。(固定費率が高い)

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こういう環境の中で神戸物産がFC店舗を増やせる理由は?

 

神戸物産の強み

人件費、原材料費が安い海外を生産拠点にし、商社や卸を使わず自社で製造・販売。中間マージンを省くこともできる。FCを中心に店舗展開しているので設備投資負担も少ない。

 

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店舗面積も標準が200坪前後と食品スーパーの1/3前後で、人件費が通常の食品スーパーが売上の10%前後のところ、5%以内に抑制できている。

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ローコストオペレーションを実現。している事で、価格を安く販売できている。

エブリデイロープライスをコンセプトに国内・海外に生産拠点を持ち、SPA(製造小売業)を実現。業務スーパーならではのオリジナル商品を多数販売しているため、価格競争にも巻き込まれない。もともと食品のプロ向けの商材を扱っており、商品のクオリティも高く、大容量で、価格も安く、一般の顧客にも受け入れられていると思う。

 

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また商品構成を見ても、比較的ロス率がほとんどでない、一般食品を中心に扱っている。

儲けやすいビジネスになっている。またロイヤルテイの仕入れの1%とかなり低く設定されている事もFC店舗が増えている要因だと思われる。

 

 

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神戸物産は、製造小売業ビジネスであり、業務スーパーでは珍しいフランチャイズ展開をしている会社。

中間マージンがない為かなり安く仕入れることができるのが特徴。

通常のスーパーでは、製造か卸売・小売店で販売するまでにマージンが乗っけられるので、価格コントロールが難しく、 最近では、メーカーと協業してPB商品に力を入れて、原価低減をしているが、メーカー側の立場で言うと、自社製品だと分かりづらいので、NB商品を売りたいと思っているだろう。

物流コストが削減されているのに、原価が高いのか?と感じているが、安く仕入れた分をそれだけ安く販売している。

神戸物産は、EDLP戦略をとっていることで、販促費を必要としていないと思う。常に安い事を売りにしている。更に低オペレーションを実現している事も、価格を安く販売できる理由だと思う。

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フランチャイズ展開をしているのなら、通常原価率が低いのでは?と思うかもしれないが、神戸物産の場合、ロイヤルテイは仕入れの1%とかなり低く設定しているので、FC比率が高いにもかかわらず、原価率は高いのだと思う。売上のほとんどは、卸売業であることもあるが、仕入れ販売によるものがほとんどであると思われる。

 

 

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この出荷実績推移の伸びが堅調であれば、問題ないのではないかと思う。

中計では、1000店舗を目標にしていますが、今後どのくらいまで拡大するのかが気になるところ。

具体的な数値は明言を避けるが、

 

市場シェアは、13兆で推移しているけどそれほど増えていくイメージはないので、この中でシェアの取り合いになると思う。

 

現在の店舗推移を見ても、関東中心に増やしているが、まだ余地はありそうに思える。

感覚的な表現で言うと、自分の感覚では、業務スーパーはそれほど近くにあまりない印象。

肌感覚で増えたなと感じる(どこに行っても見かける)と危険な感じがする。

これはワークマンにも言える事だが、自分の感覚では、ワークマンはまだまだ店舗余地はあると思う。機能性はいいらしいが、デザイン性は?と思っている。ワークマンといえば思いつく商品がイメージできない。

ただワークマンの見る機会が増えてくると(ロードサイド、ショッピングセンター・駅前など)そろそろ店舗余地はないかなと思う。ワークマンの店舗はユニクロより店舗数が多いけど、ワークマンの商品を着ている人もあまり見かけたことがないし、着ている人を見てもワークマンだとわからない。ユニクロだと見ればわかる。どんな商品を売っているのか実は知らない。(行った事がない)いつか行こうと思って半年ぐらい経つがまだ行っていない。近くにないんです。

少し脱線したが、店舗拡大した企業の推移を見ると、(ニトリ・セリア・ユニクロ・最近だとコメダ)どのぐらい拡大余地があるのか面白いので、今後研究してみよう。

 

小売業の目標は年商1兆円。個人的には、これを超えると成長のサイクルで言うと、第3ステージぐらいになるが、ここを超えてくるのは10社ぐらいしかないので、これをくることは極めて難しいと思うけど。どうでしょう?

 

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神戸物産業務スーパーで気になるのは、フランチャイズ契約しているのが、企業に多い

その一つがG-7HLD。現在150店舗前後。今期も10店舗を新規出店予定で、この会社の動向は見ておいた方いいと感じる。 関東に50店舗ぐらい東海地方にも30店舗と多い。

1店舗売上が5億ぐらい

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神戸物産の取引先では、この会社のウエートが非常に高い。

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もう1社がオーシャンシステム
 この会社は北陸・東北に店舗展開している。80店舗。F Cもしているが、直営も半分ぐらい

今期の業績で見ると売上は258億ぐらい 1店舗売上3億ぐらい。地方中心なので、ややG-7よりかはやや落ちるようです。

ちなみにコンビニの年商が2億ぐらいなので、コンビニよりやや多いぐらい?

食品スーパーは年商20億ぐらいだと言われている。(昔は!今は知らん)

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 この2社で売上が1000億もあります。店舗数は230店舗で全体の3割弱。

業務スーパーの年商はざっくり3400億ぐらいのなると思うのでご参考に。

小売業のランキングだと中堅スーパーぐらいの規模はある。今後ドンキのようにトップシェアまで成長するのかどうか?

 

 

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結論:収益性を上げるためには、物流コストの削減するか?店舗オペレーションを改善する事で高収益モデルを構築できる。さらにフランチャイズビジネスを展開する事で、短期間で事業を拡大できる。規模が拡大する程調達コストが低減され、価格競争力が一層高まり、

 高い成長力を実現していると思われる。

 

 

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売店は、店舗を構えて、お客さんに来てもらう事で商売が成り立つ。

この中で負担になるのが、土地(駐車場)建物(店舗)が大きく、固定資産の比率が高く、

フローが上がらないと利益は取りにくいビジネス。またセルフ販売方式を採用しているので、今回のように、営業自粛すると、在庫リスクも高まる。季節性の高い商品群の在庫が多いほどきつくなる。

その点神戸物産は、FCビジネスを展開しているので、固定資産が低く、キャッシュが多いのが特徴。

国内外に工場を多数持っているので、もっと固定資産が多いと思っていたが、そうでもないようです。

棚卸資産は商品構成の違いが顕著に出ているようです。

神戸物産は、一般食品などの賞味期限が長い商品の取り扱いが多い。生鮮も品揃えしているが、比較的回転率の良い商品を品揃えしている印象。

ドンキは、食品より、非食品の構成が高い。

スーパーは、売上は、一般食品の割合が高いが、売場面積は、生鮮食品の割合が高いと思われる。

 

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ただ、業務スーパーが、高い収益性があるとは、いいがたい。フランチャイズの収益モデルだと、利益率は2%ぐらいなので、ヤオコーやドンキの方が儲かりやすい。

ドンキと神戸物産がよく比較されるが、ドンキはエンター性のある売り場作りをしている。

衝動買いを誘うようなお店で、目的を持って来店するようなお店ではない。 

価格訴求して、来店数をUPさせて、買い上げ点数を増やしている。

最低限、利益が取れる水準で販売している。客数と点数が伸びないと厳しくなるので、

人の気を引くような演出・商品訴求が必要になると思う。そう言う点では、神戸物産も共通点が多いように思う。ドンキの場合は、なんでも置いてある。いつでも開いているのも強みだと思うけど。

スーパーやユニクロなどは目的買いでの来店動機が多い印象。

 

 

ヤオコーについて少し触れてみる。

ヤオコーの業績が業界平均よりよくて、見てみると、店舗展開は、東京都の周辺に多い。

埼玉・千葉など都心の周辺をドーナツ状に店舗を増やしている。店舗面積は2000㎡ぐらい

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一つは、会員数が増えている事でリピーターが増加。固定客は来店頻度が高いのが特徴がある。商圏エリアのシェアを増やせば、単純に業績は伸ばせる。

 

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その中で貢献しているのが、カード会員数の増加。しかもカード会員は、現金より客単価がかなり高い。カード会員を増やすメリットは結構大きい。

 

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生産性が上がっている理由としては、数年まえから改善活動を、かなり進めていることがかなり影響していると思う。

特に午前中の改善活動の取り組みがかなり売上にも貢献しているのではないかと思う。

小売業は、無駄な作業がかかなり多いので、改善活動の効果はかなり高いと思うが、なかなか各社は、作業に追われて、できていない。理解もあまりされていない。しかも慢性的な人手不足なので、改善活動をすると、授業員の満足度も上がり離職率も減少すると思うので定着率も上がっているのでは?

実際に取り組んでいる会社がどのくらいあるのか知らないが、 IR資料に記載しているぐらいなので、かなり効果があったのだろうと思う。

商圏シェアが上がっているのも、店舗のクオリティが改善活動によって上がっているのが大きいではと結論が出ました。

 

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神戸物産の月次が発表されました。

かなり好調なようです。

今後の売上がどのくらいいくのか考えてみました。

 

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これは昨年の数値ですが、この数値と、今期の月次データから売上予測を立ててみたいと思います。

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これは今期の数値データです。凄まじい数値です。

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これは昨年の売上状況です。売上構成で見るとそれほど変化がないようですが、1店舗売上を見ると、少しばらつきがありますが、そこまでは季節性はないと思います。

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これが今期の数値データになります。

5月までは、実数値ですが、6月以降は、推定値になります。

新店効果は、4%-5%ぐらいしかありませんので、いかに既存店が好調なのがわかります。

6月以降は推定値になりますが、この数値はやや保守的に計算しました。

3-5月はコロナの影響でかなりスーパーにも恩恵があり、5月のスーパー全体の売上も10%近くプラスでした。

これが、今後も続くかはわかりませんが、今回は、コロナウイルスの影響も弱まるだろうと想定して、控えめに試算しました。

しかしながら、コロナの影響がなくなったとしても、お客の流れがスーパーに継続的に流れていく可能性もあります。同じような事が2011年の東日本大震災のときにもありました。

あの時は、大手スーパーに商品の供給が滞り、近場のスーパーやコンビニにお客が流れ、コンビニや食品スーパーが見直されました。その流れで、コンビニは大きくのばしていた印象を持っています。

今回も時代の流れに乗り食品スーパーなどが伸ばしていきそうな雰囲気はあります。

もし仮に、3-5月と同じぐらいの売上が見込めるようだと、月ベースで40億程度の上積みは見込めると思いますので、年間の売上だと3600億程度いけるのではないかと思われます。

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今期の業績予想(単体):売上3380-3600億  営業利益 220-234億

連結の業績予想    :売上3670-3900億  営業利益 256-270億

 

このぐらいの数値は可能ではないかと思われます。

 

ちなみに四季報記者の業績予想だと、

売上3600億  営業利益 250億になっています。